Debian セキュリティ勧告
DSA-2303-2 linux-2.6 -- 特権の昇格/サービス拒否攻撃/情報の漏洩
- 報告日時:
- 2011-09-10
- 影響を受けるパッケージ:
- linux-2.6
- 危険性:
- あり
- 参考セキュリティデータベース:
- Mitre の CVE 辞書: CVE-2011-1020, CVE-2011-1576, CVE-2011-2484, CVE-2011-2491, CVE-2011-2492, CVE-2011-2495, CVE-2011-2496, CVE-2011-2497, CVE-2011-2517, CVE-2011-2525, CVE-2011-2700, CVE-2011-2723, CVE-2011-2905, CVE-2011-2909, CVE-2011-2918, CVE-2011-2928, CVE-2011-3188, CVE-2011-3191.
- 詳細:
-
Linux カーネルに、複数の問題が発見されました。これらの欠陥への攻撃によ り、サービス拒否攻撃、特権の昇格、情報の漏洩などが可能です。The Common Vulnerabilities and Exposures project は以下の問題を認識しています。
- CVE-2011-1020
Kees Cook さんにより、/proc ファイルシステムに欠陥が発見されました。 ローカルユーザが setuid バイナリの実行後、機密のプロセス情報にアク セス可能です。
- CVE-2011-1576
Ryan Sweat さんにより、VLAN 実装に欠陥が発見されました。ローカルユ ーザがこの欠陥を攻撃してカーネルメモリリークを起こせるため。サービ ス拒否攻撃が可能です。
- CVE-2011-2484
Openwall の Vasiliy Kulikov さんにより、プロセスの exit ハンドラの 数が制限されていないため、リソース枯渇によるサービス拒否攻撃 (cpu 時間とメモリ) を行えることが発見されました。
- CVE-2011-2491
Vasily Averin さんにより、NFS ロック実装に欠陥が発見されました。悪 意を持った NFS サーバから、unlock コールを行ったクライアントをハン グアップさせることが可能です。
- CVE-2011-2492
Marek Kroemeke さんと Filip Palian さんにより、Bluetooth サブシステ ムに構造体要素の初期化漏れが発見されました。この欠陥によりスタック メモリがリークするため、カーネル内の機密情報が漏洩する可能性があり ます。
- CVE-2011-2495
Openwall の Vasiliy Kulikov さんにより、プロセスの proc ディレクト リの io ファイルが誰からでも読めるため、パスワード長などの機密情報 がローカルに漏洩することが発見されました。
- CVE-2011-2496
Robert Swiecki さんにより、mremap() により BUG_ON をアサートできる ため、ローカルのサービス拒否攻撃に悪用可能であることが発見されまし た。
- CVE-2011-2497
Dan Rosenberg さんにより、Bluetooth サブシステムに整数オーバフロー があり、サービス拒否攻撃や特権の昇格に繋がることが発見されました。
- CVE-2011-2517
netlink ベースの無線 LAN 設定インターフェースに、欠陥が発見されまし た。SSID パース時に長さチェックが不十分なため、バッファオーバフロー が発生します。CAP_NET_ADMIN 権限を持つローカルユーザが、この欠陥を 攻撃してサービス拒否攻撃を実行可能です。
- CVE-2011-2525
Ben Pfaff さんにより、ネットワークスケジューリングコードに欠陥が報 告されました。ローカルユーザが、細工したネットリンクメッセージを送 ることでサービス拒否攻撃 (ヌルポインタ参照) を実行可能です。
- CVE-2011-2700
Red Hat の Mauro Carvalho Chehab さんにより、N900 デバイスで使われる Si4713 FM ラジオ送信ドライバにバッファオーバフローを起こす欠陥が報告 されました。ローカルユーザから、この欠陥を攻撃してサービス拒否攻撃や、 特権の昇格を行えます。
- CVE-2011-2723
Brent Meshier さんにより、GRO (generic receive offload) 実装に欠陥が 報告されました。特定のデバイス設定条件下で、リモートの攻撃者からサー ビス拒否攻撃 (システムクラッシュ) を起こすことが可能です。
- CVE-2011-2905
Christian Ohm さんにより、perf 解析ツールが設定ファイルを現在の作業 ディレクトリでサーチする欠陥が発見されました。この欠陥により、ユーザ を騙して攻撃者の管理下にあるディレクトリで perf を実行させることで、 サービス拒否攻撃や特権の昇格などが行える可能性があります。
- CVE-2011-2909
Openwall の Vasiliy Kulikov さんにより、Comedi ドライバにプログラム 誤りがあり、リークしたスタックメモリからの情報の漏洩に繋がることが発 見されました。
- CVE-2011-2918
Vince Weaver さんにより、ソフトウェアイベント処理が誤っているため、 perf 解析ツールがオーバフローし、ローカルのサービス拒否攻撃が行える 可能性があることが発見されました。
- CVE-2011-2928
Timo Warns さんにより、Be ファイルシステムイメージの検証が不十分で、 不正なイメージをマウントさせることでローカルのサービス拒否攻撃に繋が ることが発見されました。
- CVE-2011-3188
Dan Kaminsky さんにより、TCP プロトコル実装のシーケンス番号生成に脆 弱性が報告されました。この欠陥を悪用して、リモートの攻撃者が接続中の セッションにパケットを挿入可能です。
- CVE-2011-3191
Darren Lavender さんにより、Common Internet File System (CIFS ファイ ルシステム) に欠陥が報告されました。悪意を持ったファイルサーバからメ モリ破壊を起こせるため、サービス拒否攻撃に繋がります。
今回の修正では、以前のセキュリティ修正 CVE-2011-1768 (Debian: #633738) でのエンバグの修正も行われています。
安定版 (stable) ディストリビューション (squeeze) では、この問題はバー ジョン 2.6.32-35squeeze2 で修正されています。旧安定版 (lenny) に影響の ある欠陥の修正は近く提供予定です。
以下は今回の更新の効果を得るため、または今回の更新との互換性を維持する ために再ビルドした追加ソースパッケージの一覧表です。
Debian 6.0 (squeeze) user-mode-linux 2.6.32-1um-4+35squeeze2 直ぐに linux-2.6 と user-mode-linux パッケージをアップグレードするこ とを勧めます。
- CVE-2011-1020