Debian セキュリティ勧告
DSA-2240-1 linux-2.6 -- 特権の昇格/サービス拒否攻撃/情報の漏洩
- 報告日時:
- 2011-05-24
- 影響を受けるパッケージ:
- linux-2.6
- 危険性:
- あり
- 参考セキュリティデータベース:
- Mitre の CVE 辞書: CVE-2010-3875, CVE-2011-0695, CVE-2011-0711, CVE-2011-0726, CVE-2011-1016, CVE-2011-1078, CVE-2011-1079, CVE-2011-1080, CVE-2011-1090, CVE-2011-1160, CVE-2011-1163, CVE-2011-1170, CVE-2011-1171, CVE-2011-1172, CVE-2011-1173, CVE-2011-1180, CVE-2011-1182, CVE-2011-1476, CVE-2011-1477, CVE-2011-1478, CVE-2011-1493, CVE-2011-1494, CVE-2011-1495, CVE-2011-1585, CVE-2011-1593, CVE-2011-1598, CVE-2011-1745, CVE-2011-1746, CVE-2011-1748, CVE-2011-1759, CVE-2011-1767, CVE-2011-1770, CVE-2011-1776, CVE-2011-2022.
- 詳細:
-
Linux カーネルに、複数の問題が発見されました。これらの欠陥の攻撃によ り、サービス拒否攻撃や特権の昇格が可能です。The Common Vulnerabilities and Exposures project は以下の問題を認識しています。
- CVE-2010-3875
Vasiliy Kulikov さんにより、Amateur Radio AX.25 Level 2 プロトコ ル実装に欠陥が発見されました。ローカルユーザがカーネルメモリ内の 機密情報を読み出し可能です。
- CVE-2011-0695
Jens Kuehnel さんにより、InfiniBand スタックに欠陥が報告されまし た。リモートの攻撃者が競合条件を攻撃してサービス拒否攻撃 (カーネ ルパニック) を行えます。
- CVE-2011-0711
Dan Rosenberg さんにより、XFS ファイルシステムに欠陥が報告されま した。ローカルユーザがカーネルメモリ内の機密情報を読み出し可能で す。
- CVE-2011-0726
Kees Cook さんにより、/proc/pid/stat 実装に欠陥が報告されました。 ローカルの攻撃者がプロセスのテキスト領域の位置を知り得るため、ア ドレス空間位置乱数化 (ASLR) による保護を迂回可能です
- CVE-2011-1016
Marek Olšák さんにより、ATI/AMD Radeon ビデオチッ プドライバに欠陥が発見されました。ローカルユーザが任意の値をビデ オメモリやグラフィック変換テーブルに渡せるため、サービス拒否攻撃 や特権の昇格が可能です。Debian の標準設定では、この欠陥は
video
グループに属しているユーザからのみ攻撃可能です。 - CVE-2011-1078
Vasiliy Kulikov さんにより、Bluetooth サブシステムに欠陥が発見さ れました。ローカルユーザがカーネルメモリ内の機密情報を読み出し可 能です
- CVE-2011-1079
Vasiliy Kulikov さんにより、Bluetooth サブシステムに欠陥が発見さ れました。CAP_NET_ADMIN 権限を持つローカルユーザがサービス拒否攻 撃 (カーネル Oops) を実行可能です。
- CVE-2011-1080
Vasiliy Kulikov さんにより、Netfilter サブシステムに欠陥が発見さ れました。ローカルユーザがカーネルメモリ内の機密情報を読み出し可 能です。
- CVE-2011-1090
Neil Horman さんにより、NFSv4 ファイルシステムの setacl() 関数に メモリリークが発見されました。ローカルの攻撃者がこの欠陥を攻撃す ることによりサービス拒否攻撃 (Oops) を実行可能です。
- CVE-2011-1160
Peter Huewe さんにより、TPM セキュリティチップの Linux カーネル サポートに欠陥が報告されました。このデバイスの open 権限をもつユ ーザが、カーネルメモリ内の機密情報を読み出し可能です。
- CVE-2011-1163
Timo Warns さんにより、Alpha OSF フォーマットのディスクパーティ ション差ポーチに欠陥が報告されました。マシンへの物理アクセス可 能なユーザが、細工した OSF パーティションを持つストレージデバイ スを追加することで、カーネルメモリ内の機密情報を読み出し可能です。
- CVE-2011-1170
Vasiliy Kulikov さんにより、Netfilter ARP テーブル実装に欠陥が発 見されました。CAP_NET_ADMIN 権限を持つローカルユーザがカーネルメ モリ内の機密情報を読み出し可能です。
- CVE-2011-1171
Vasiliy Kulikov さんにより、Netfilter IP テーブル実装に欠陥が発 見されました。CAP_NET_ADMIN 権限を持つローカルユーザがカーネルメ モリ内の機密情報を読み出し可能です。
- CVE-2011-1172
Vasiliy Kulikov さんにより、Netfilter IPv6 テーブル実装に欠陥が発 見されました。CAP_NET_ADMIN 権限を持つローカルユーザがカーネルメ モリ内の機密情報を読み出し可能です。
- CVE-2011-1173
Vasiliy Kulikov さんにより、Acorn Econet プロトコル実装に欠陥が 発見されました。この希なハードウェアを使用しているシステムで、ロ ーカルユーザがカーネルメモリ内の機密情報を読み出し可能です。
- CVE-2011-1180
Dan Rosenberg さんにより、赤外線デバイス向け IrDA プロトコルの Information Access Service にバッファオーバフローが報告されまし た。赤外線デバイスと通信可能なリモートの攻撃者がサービス拒否攻撃 や、特権の昇格を行えます。
- CVE-2011-1182
Julien Tinnes さんにより、rt_sigqueueinfo インターフェースに欠陥 が報告されました。ローカルユーザがソース pid や uid を偽装したシ グナルを作成可能です。
- CVE-2011-1476
Dan Rosenberg さんにより、Open Sound System MIDI インターフェー スに欠陥があり、ローカルユーザがサービス拒否攻撃を行えることが報 告されました。公式 Debian Linux image パッケージでは OSS サポー トを打ち切っているため、この欠陥の影響はありません。但し、Debian linux-source-2.6.32 から作成したカスタムカーネルでこの機能を有効 にしている場合には、欠陥の影響を受けます。
- CVE-2011-1477
Dan Rosenberg さんにより、ヤマハ FM シンセサイザチップの Open Sound System ドライバに欠陥があり、ローカルユーザがメモリ破壊に よるサービス拒否攻撃を行えることが報告されました。公式 Debian Linux image パッケージでは OSS サポートを打ち切っているため、こ の欠陥の影響はありません。但し、Debian linux-source-2.6.32 から 作成したカスタムカーネルでこの機能を有効にしている場合には、欠陥 の影響を受けます。
- CVE-2011-1478
Ryan Sweat さんにより、Linux ネットワーキングサブシステムの Generic Receive Offload (GRO) サポートに欠陥が報告されました。 GRO を有効化したインターフェースが promiscuous モードで動作して いた場合、リモートの攻撃者が未定義の VLAN でパケットを送りつける ことでサービス拒否攻撃 (NULL ポインタ参照) を行えます。
- CVE-2011-1493
Dan Rosenburg さんにより、Amateur Radio X.25 (Rose) プロトコル実 装に二つの欠陥が発見されました。リモートユーザが細工したファシリ ティ (facilities) フィールドの値を持つパケットを送ることでサービ ス拒否攻撃を実行可能です。
- CVE-2011-1494
Dan Rosenberg さんにより、LSI MPT Fusion SAS 2.0 コントローラの ドライバで提供された /dev/mpt2ctl インターフェースに欠陥が報告さ れました。ローカルユーザが細工した ioctl 呼び出しにより特権の昇 格を行えます。標準の Debian での設定では、このインターフェースは root からのみアクセス可能なため、攻撃できません。
- CVE-2011-1495
Dan Rosenberg さんにより、LSI MPT Fusion SAS 2.0 コントローラの ドライバで提供された /dev/mpt2ctl インターフェースに、更に二件の 欠陥が報告されました。ローカルユーザが細工した ioctl 呼び出しに より特権の昇格やカーネルの任意のメモリ読み出しを行えます。標準の Debian での設定では、このインターフェースは root からのみアクセ ス可能なため、攻撃できません。
- CVE-2011-1585
Jeff Layton さんにより、Common Internet File System (CIFS) に欠 陥が報告されました。ローカルユーザが、他のユーザがマウントしてい る共有ボリュームへのアクセスに必要な認証を迂回可能です。
- CVE-2011-1593
Robert Swiecki さんにより、next_pidmap() 関数に符号誤りがあり、 ローカルユーザからサービス拒否攻撃を行えることが報告されました。
- CVE-2011-1598
Dave Jones さんにより、Broadcast Manager Controller Area Network (CAN/BCM) プロトコルに欠陥があり、ローカルユーザから NULL ポイン タ参照によるサービス拒否攻撃を行えることが報告されました。
- CVE-2011-1745
Vasiliy Kulikov さんにより、AGP デバイスの Linux サポートに欠陥が 報告されました。AGPIOC_BIND ioctl に配列の範囲チェックが抜けてい るため、ローカルの攻撃者が特権の昇格やサービス拒否攻撃を実行可能 です。Debian の標準設定では、この欠陥は
video
グループに属してい るユーザからのみ攻撃可能です。 - CVE-2011-1746
Vasiliy Kulikov さんにより、AGP デバイスの Linux サポートに欠陥が 報告されました。agp_allocate_memory と agp_create_user_memory ルーチン に配列の範囲チェックが抜けているため、ローカルの攻撃者が特権の 昇格やサービス拒否攻撃を実行可能です。Debian の標準設定では、この 欠陥は
video
グループに属しているユーザからのみ攻撃可能です。 - CVE-2011-1748
Oliver Kartkopp さんにより、Controller Area Network (CAN) の raw ソケット実装に欠陥があり、ローカルユーザから NULL ポインタ参照に よるサービス拒否攻撃を行えることが報告されました。
- CVE-2011-1759
Dan Rosenberg さんにより、ARM プロセッサの 「旧 ABI」バイナリ実行 サポートに欠陥が報告されました。semtimedop システムコールに配列の 添字チェックが抜けているため、ローカルユーザが特権の昇格を行えま す。
- CVE-2011-1767
Alexecy Dobriyan さんにより、GRE over IP 実装に欠陥が報告されまし た。リモートユーザがモジュール初期化中にパケットを送ることで、サ ービス拒否攻撃を実行可能です。
- CVE-2011-1770
Dan Rosenberg さんにより、Datagram Congestion Control Protocol (DCCP) に欠陥が報告されました。リモートユーザがサービス拒否攻撃や、 カーネルメモリ内の機密情報を読み出し可能です。
- CVE-2011-1776
Timo Warns さんにより、GUID パーティションの Linux 実装に欠陥が報 告されました。マシンへの物理アクセス可能なユーザが、細工した不正 なパーティションテーブルを持つストレージデバイスを追加することで、 カーネルメモリ内の機密情報を読み出し可能です。
- CVE-2011-2022
Vasiliy Kulikov さんにより、AGP デバイスの Linux サポートに欠陥が 報告されました。AGPIOC_UNBIND ioctl に配列の範囲チェックが抜けて いるため、ローカルの攻撃者が特権の昇格やサービス拒否攻撃を実行可 能です。Debian の標準設定では、この欠陥は video グループに属して いるユーザからのみ攻撃可能です。
この更新では、Debian 6.0 の次のポイントリリースで予定していた、様々の セキュリティ以外の問題の修正を含めています。これらの追加修正は、 パッケージのchangelogに記載されています。
安定版 (stable) ディストリビューション (squeeze) では、この問題はバー ジョン 2.6.32-34squeeze1 で修正されています。旧安定版に影響のある欠陥 の修正は近く提供予定です。 以下は今回の更新の効果を得るため、または今回の更新との互換性を維持する ために再ビルドした追加ソースパッケージの一覧表です。
Debian 6.0 (squeeze) user-mode-linux 2.6.32-1um-4+34squeeze1 直ぐに linux-2.6 および user-mode-linux パッケージをアップグレードする ことを勧めます。
- CVE-2010-3875