Debian セキュリティ勧告
DSA-2153-1 linux-2.6 -- 特権の昇格/サービス拒否攻撃/情報の漏洩
- 報告日時:
- 2011-01-30
- 影響を受けるパッケージ:
- linux-2.6
- 危険性:
- あり
- 参考セキュリティデータベース:
- Mitre の CVE 辞書: CVE-2010-0435, CVE-2010-3699, CVE-2010-4158, CVE-2010-4162, CVE-2010-4163, CVE-2010-4242, CVE-2010-4243, CVE-2010-4248, CVE-2010-4249, CVE-2010-4258, CVE-2010-4342, CVE-2010-4346, CVE-2010-4526, CVE-2010-4527, CVE-2010-4529, CVE-2010-4565, CVE-2010-4649, CVE-2010-4656, CVE-2010-4668, CVE-2011-0521.
- 詳細:
-
Linux カーネルに、特権の昇格/サービス拒否攻撃/情報の漏洩に繋がる複数の問 題が発見されました。The Common Vulnerabilities and Exposures project は 以下の問題を認識しています。
- CVE-2010-0435
Gleb Napatov さんにより、KVM サブシステムに欠陥が報告されました。 仮想マシンから mov to/from DR 命令を実行することで、ホストマシン に対するサービス拒否攻撃を実行可能です。
- CVE-2010-3699
Keir Fraser さんにより、Xen サブシステムのパッチが提供されました。 デバイスの参照のリークのため、参照を保持し続けることでゲストから ホストに対するサービス拒否攻撃を実行可能です。これは、この操作に よりゾンビドメインが発生し、xenwatch プロセスがハングし、xm コマ ンドが失敗するためです。
- CVE-2010-4158
Dan Rosenberg さんにより、socket filter サブシステムに欠陥が発見 されました。ローカルの非特権ユーザがカーネルの機密情報を含むメモ リの内容を取得可能です。
- CVE-2010-4162
Dan Rosenberg さんにより、block I/O サブシステムにオーバフローの 欠陥が発見されました。ローカルユーザが多数のページをマップできる ため、OOM キラーの起動によるサービス拒否攻撃を実行可能です。
- CVE-2010-4163
Dan Rosenberg さんにより、block I/O サブシステムにオーバフローの 欠陥が発見されました。iov セグメントの検証が不適切なため、ローカ ルユーザがカーネルパニックを引き起こし、サービス拒否攻撃を実行可 能です。
- CVE-2010-4242
Alan Cox さんにより、Bluetooth サブシステムに欠陥が報告されました。 tty write 操作にチェックが抜けているため、HCI UART デバイスにアク セス可能なローカルユーザがサービス拒否攻撃 (NULL ポインタ参照) を 実行可能です。
- CVE-2010-4243
Brad Spengler さんにより、カーネルメモリアカウンティングシステム にサービス拒否攻撃に繋がる欠陥が報告されました。巨大な argv/envp 値を exec に渡すことで、ローカルユーザが OOM キラーを起動し、他のユ ーザの所有するプロセスを殺すことが可能です。
- CVE-2010-4248
Oleg Nesterov rさんにより、POSIX CPU タイマサブシステムに欠陥が報 告されました。スレッドグループの先頭の挙動に不適切な課程が置かれ ているため、ローカルユーザがサービス拒否攻撃 (カーネル Oops) を実 行可能です。
- CVE-2010-4249
Vegard Nossum さんにより、UNIX ソケットガベージコレクタに欠陥が報 告されました。ローカルユーザが処理中のソケットで過負荷を掛けるこ とで LOWMEM を全て消費することができるため、システム性能を低下さ れることが可能です。
- CVE-2010-4258
Nelson Elhage さんにより、Linux oops 処理に欠陥が報告されました。 ローカルユーザが fs を KERNEL_DS にセットしたプロセスで oops を起 こすことができた場合、特権の昇格が可能です。
- CVE-2010-4342
Nelson Elhage さんにより、Econet プロトコルに欠陥が報告されました。 リモートの攻撃者が、UDP 経由で Acorn Universal ネットワークパケッ トを送信することで、サービス拒否攻撃を実行可能です。
- CVE-2010-4346
Tavis Ormandy さんにより install_special_mapping 処理に、欠陥が報 告されました。ローカルユーザから mmap_min_addr のセキュリティ制約 の迂回が可能です。これに他のサービス拒否攻撃 (NULL ポインタ参照) に繋がる危険性の低い欠陥を組み合わせることで、ローカルユーザから の特権の昇格が可能です。
- CVE-2010-4526
Eugene Teo さんにより、Linux SCTP 実装に欠陥が報告されました。リ モートの攻撃者から、ロックされたソケットに ICMP unreachable メッ セージを起こすことで、サービス拒否攻撃 (カーネルメモリ破壊) を実 行可能です。
- CVE-2010-4527
Dan Rosenberg さんにより、OSS サウンドカードドライバに欠陥が報告 されました。デバイスにアクセス可能なローカルユーザ (Debian の標準 設定では、audio グループのメンバ) から、機密情報を含むカーネルメ モリの取得やバッファオーバフローの発生が行えるため、特権の昇格を 行える可能性があります。
- CVE-2010-4529
Dan Rosenberg さんにより、非 x86 アーキテクチャでの Linux カーネ ル IrDA ソケット実装に欠陥が報告されました。ローカルユーザが細工 した IRLMP_ENUMDEVICES getsockopt コールを用いることにより、機密 情報を含むカーネルメモリへのアクセスが可能です。
- CVE-2010-4565
Dan Rosenberg さんにより、Linux CAN プロトコルサブシステムに欠陥 が報告されました。ローカルユーザがカーネルヒープオブジェクトのア ドレスを取得できるため、システムの攻撃が容易になります。
- CVE-2010-4649
Dan Carpenter さんにより、InfiniBand サブシステムの uverb の扱い に欠陥が発見されました。大きな cmd.ne の値によりバッファオーバフ ローを起こすため、サービス拒否攻撃 (メモリ破壊) を実行可能です。
- CVE-2010-4656
Kees Cook さんにより、I/O-Warrior USB デバイスのドライバに欠陥が 報告されました。これらのデバイスにアクセス可能なユーザが、カーネ ルバッファの上書きを行えるため、サービス拒否攻撃や特権の昇格を行 える可能性があります。
- CVE-2010-4668
Dan Rosenberg さんにより、block サブシステムに欠陥が報告されまし た。ローカルユーザが、ある種の長さ 0 の I/O 要求を行うことで、サ ービス拒否攻撃 (カーネルパニック) を実行可能です。
- CVE-2011-0521
Dan Carpenter さんにより、AV7110 カードの DVB ドライバに欠陥が発 見されました。ローカルユーザが info->num 値に負の値を渡せるため、 カーネルメモリを破壊しサービス拒否攻撃を実行可能です。
安定版 (stable) ディストリビューション (lenny) では、この問題はバージ ョン 2.6.26-26lenny2 で修正されています。
以下は今回の更新の効果を得るため、または今回の更新との互換性を維持する ために再ビルドした追加ソースパッケージの一覧表です。
Debian 5.0 (lenny) user-mode-linux 2.6.26-1um-2+26lenny2 直ぐに linux-2.6 and user-mode-linux パッケージをアップグレードするこ とを勧めます。
これらの更新は、システムのリブート後有効になることに注意してください。
- CVE-2010-0435